2009 No.111
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「グラン・トリノ」クリント・イーストウッド監督 USA

タイトル「グラン・トリノ」は1972年のフォードのハッチバック型の美しい車のことである。大手自動車メーカーが衰退したり、様々な価値観が大きく変化し、銃による事件や犯罪の多発する今、監督としては、かつてのよき時代のアメリカの残像と再生の思いを盛り込んでいる。

主人公は朝鮮戦争に出兵し、その後フォードの工場で勤め上げてきた。彼には人種に対する偏見があり、また偏屈な性格を嫌がって息子達は寄り付かず、妻は先立ち長年住んでいる家に一人で生活している。その住宅地も古くなり、アジア系の人が多く住むエリアとなって、彼にはそれも気に入らない。苦虫を潰したような顔で「米食い虫め」と窓越しに彼等を見ている。ある事件をきっかけに、図らずも隣の中国少数民族の家族と付き合いが始り、しだいに絆が生まれそして、彼等のために思いきった行動にでる。

この映画を見終わったとき、これは俳優クリント・イーストウッドとしての、締めくくりを飾る映画と感じた。「ロ−ハイド」「荒野の用心棒」などウエスタンTVドラマや映画で人気を得た俳優が、最後も孤独な老ガンマンとして、か弱き者を守るために、ならず者の住みかに一人乗り込んで決闘となる、現代劇ウエスタンのように思えた。繁栄したアメリカを生きてきたポーランド系の移民の主人公が、次世代のアメリカ再生を愛車グラン・トリノをモチーフに、息子や孫でもなく新しい移民の若者に託す。エンディングのデトロイト周辺のエリー湖畔?を走るシーンが清々しい。
梅田は泉の広場を上る梅田ピカデリー、阪神裏のブルク7で上映中

 

「スラムドッグ$ミリオネア」ダニ−・ボイル監督 イギリス

「ファイナル・アンサー!」お馴染み、みのもんた司会のTVクイズ番組。世界のあちこちでも放映されている番組のインド版。スラムで育だち、学校にも行けず、必死に生きてきた少年が、次々と解答していく。何で?その謎が次々と解きあかされていく。彼がこの人気番組に出場しようと思ったのは、お金ではなく、別の目的があった。

「トレイン・スポッティング」のボイル監督が「フル・モンティ」のサイモン・ビュ−フォイのシナリオで制作されたイギリス映画。クイズ番組、警察での尋問、幼い頃からのシーンがテンポよく進んでいき、ムンバイの街、スラム街の映像などが映し出される。ずっと持ち続けてきた、幼い頃の同じ孤児の少女への想い。貨物列車に乗るときに、手を離してしまった自責の念。「愛」と「希望」を胸にクイズ番組に出演する18才になった彼を、観客は応援せずにはおれない、そして最後の問題のファイナル・アンサーは?

イギリス映画とはいえ、最後のシーンにムンバイ駅のホームで踊るシーンは、ボリウッド・ミュージカルとなって、観客も晴々として元気になる映画である。ただ、話がうまく行き過ぎる感じだが、これもインド映画的なつくりになっているのであろう。
まだ、梅田はナビオTOHOシネマ、スカイビルの梅田ガーデンシネマで上映中

 

連載-AMERICAN PHOTOGRAPHS-55
San Francisco, California

サンフランシスコ、ノースビーチのワシントン・スクエアのポプラ。
映画「いちご白書 」に、此処が出てくるのを見つけて

何か嬉しかった記憶がある。

連載55
Jimmy Smith [Root Down] 1972年

先月ロニー・スミスをとりあげたが、ジャズ・オルガンといえばやはりこの人ジミ−・スミスである。長年ブルーノートやヴァ−ヴから数多くのアルバムを出し、ハモンド・オルガンによるモダンジャズを引っ張てきた第一人者である。その彼が70年代になって、ファンク寄りのライブを出している。「俺がやればこんなもんよ」と1曲目「Sagg Shootin' His Arrow」から、ア−サ−・アダムスという人のワウワウ・ギターと縦横無尽に弾きまくるジミ−のオルガンが、ハイテンション・グルーヴで突っ走る。ドラムスが、ジャズの乱れ打ちのスタイルなので、あまりファンク的ではない。6曲目も同じタイプの曲。

1曲目のすぐ次ぎのほうが、より効果的に酔えるので、1曲飛ばして3曲目にする。グッとくる、ゆったりとしたビートのブルース「After Hours」。スティ−ブ・ウィリアムスという人のハープが入って、よりブルース・フィーリングが高まる。4曲目アルバム・タイトルの「Root Down(and Get It)」は、コンガが入ったミディアム・テンポのファンク。粘りつくようなワウワウギターとオルガンが、次第にヒートアップしてくる。ベースは、ジミ−が踏んでいるのではなく、当然ファンクにはフェンダー・ベースでウィルトン・フェルダーという人。彼等が一体となって織りなすグルーブがカッコいい。最も長い12分半に及ぶこのアルバムのハイライトである。最後の7曲目にオルタネート・バージョンが入っている。

5曲目はアル・グリーンの代表曲「Let's Stay Together」は、サラッとリラックスした、とはいってもソウルフルな演奏が心地よい。2曲目の「For Everyone Under the Sun」も同タイプの曲。ジミ−・スミスが、4ビートでスイングするハードバップばかりではなく、より黒いファンクに挑んだ L.A.での人気のライブ盤である。

 


SANPO PHOTO-1
新緑が薫る大川沿い。雨上がりでしっとりと眼に麗しい。

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