連載-AMERICAN PHOTOGRAPHS-42
San Francisco, California

サンフランシスコ西側の広いゴールデンゲート・パークをサイクリングなどして西に向かって抜けると、大平洋に出る。写真のご夫婦は、ビーチの石段で、のんびりと海を眺めて雑誌を拾い読み。いい休日である。

2008 No.98

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今年のソメイヨシノ

2月は寒く、3月になって穏やかに少しずつ暖かくなり、3月24〜25日に開花した。開花後、花冷えというか、夜に寒い日があったが4月3〜4日には満開となった。5、6日の土・日は花見真っ盛り、風に花びらが舞い散って、美しく風情満点であった。7日(月)は雨となり散りつつある。

6日(日)万博公園の民族学博物館に、中国雲南省の少数民族の映画「ルオマの初恋」を見に行った際に、水辺で枝垂れ桜を撮影をした。万博公園は桜も多く自然が溢れ、広くゆったりとして、天気のいいこともあり、とても心地よい気分だった。


世界の映画賞はたくさんあるが、ベネチア、カンヌ、ベルリン、アカデミー、ゴールデングローブなどがよく知られたメジャーな賞である。映画を観に行くきっかけになるが、受賞作が必ずしも自分にとっていい映画というわけでもない。今年は比較的観たいものが受賞をしているので、次々と観に行った。

「ラスト・コーション」 アン・リ−監督 中国+アメリカ+台湾+香港
[ベネチア映画国際映画祭---グランプリ]

アン・リ−監督は、「ブロークバック・マウンテン」でも各映画賞で受賞やノミネートされている。男の友情を超えた長年にわたり変わらぬ強い愛の物語であったが、今回は、ノーマルに男と女の愛についてである。この方がやはり、観ていてしっくり来る。 しかし、日本が中国侵攻の最中、上海の学生たちが抗日運動で、日本に通じる中国高官(トニー・レオン)を暗殺するために、女学生をスパイとして送り込むという、緊迫した状況のでの愛の物語であった。

女学生役は新人の美しい女優で、裸の絡みも多く体当たりの好演であった。といっても、エロチックなシーンが、それほど記憶に残ることはなく、そのシーンが何度かあることによって、スパイとして近ずいた男と逢瀬を重ねるうちに、体の関係だけではなく、愛が芽生えて来るというリアリティがよく出ている。男は人を信用せず警戒心が強いが、彼女と逢ううちに次第に、彼女だけには心を開くようになる。そして、彼女への純粋な愛のかたちとして、高価なプレゼントする。これでグラっとくる彼女、使命か愛か、とっさの判断を迫られる。観られていない方は、この後はDVDが出たときのお楽しに。

この展開は、昨年観たオランダ出身でハリウッドで活躍しているポ−ル・バ−ホ−ベン監督が、久々にヨーロッパに戻って撮った「ブラックブック」を思い出した。ナチスに家族を殺され、復讐に燃えレジスタンスに身を投じてナチスの高官に近づき、同じように愛しあうようになる話。こちらは、最後に裏切りなどであっと驚かせてくれるシナリオの面白さ。「ラスト・コーション」では、愛していく過程に重きをおいて表現している。かつての上海のセットも興味深い。

 

「トゥヤーの結婚」ワン・チュンアン(王全安)監督 中国
[ベルリン国際映画祭---グランプリ(金熊賞)]

これは昨年2007の受賞である。砂漠化してゆく内モンゴルの大地の、厳しい自然の中で生き抜く家族。生きていくために不可欠の水、ラクダを連れて何キロも離れたところまで取りに行かなければならない。蛇口をひねれば、当たり前に出て来る私達の生活は、こんな様子を見て便利な日頃のありがたさを理解する。夫は井戸を掘っている際ダイナマイトで下半身を麻痺して、歩けなくなった。水汲み、羊の放牧、家事と必死に働く妻トゥヤー(ユー・ナン)。だが、次第に体を蝕んでいき、ある決断をする。それは、夫と別れて再婚すること。条件として、不自由な体の夫も一緒に暮らすことだった。そんな条件を受け入れてくれる男は現れるのだろうか?

映画のチラシのコピー「私は、あなたを一人にしない」。映画を観てから、このコピーを見て何か目頭が熱くなってきた。夫に代わって家族を守ろうとする強い愛や逞しい母性は、モンゴルの大地のように大きい。私達の生活とは全く異なる生活ぶり、結婚式やその衣装など異国情緒がヨーロッパでも新鮮に見えるのであろう。色鮮やかなライトブルーや、ピンクのトゥヤーのチープなスカーフだが、空と平原だけの乾燥した内モンゴルの風景の中に良く似合っていた。

 

「ノー・カントリー」コ−エン・ブラザーズ監督 アメリカ
[アカデミ−作品賞]

バンバン殺されて血は流れるし、逃げる方も追う方も弾が当たって痛そうだし、観に行かなければよかったかなと思う映画。本タイトルは「No Country For Old Men」直訳では、「老人のための国ではない」ということで、巷に溢れる銃の乱射、いつ襲われるか、弱者はおちおちして居れない危ない国--アメリカっていうことなのか。

バンバン撃ってドンドン殺人のB級タッチの映画、何でアカデミー作品賞なのか、ちょっと首をかしげてしまうが、殺し屋のキャラクターによるところが大きい。キャングの殺し屋とは雰囲気の違う普通っぽいおっさんだけど、あまり喋らず無気味。撃たれる人も観客も、「今から撃つので覚悟しな」ではなく、北野タケシ監督の映画ように、いきなり撃ち殺すところが、新鮮なのであろう。そして、執拗に追って来る、気に入らなければ雇い主も殺ってしまうという、生きるも殺すも、殺し屋のルールによってなされる。この殺し屋が交通ルールを守って青信号で走っているところに、横から突っ込んで来るアクシデント。自分のルールで生きてる殺し屋にも災いはやってくる危ない国--アメリカ?、そして純真な気持ちでシャツをあげたのに、お金を貰うことで言い争う子供達。何か意味を含ませたエンディングが、ずるずると続く。

テキサスの荒野などを久々に観たが、映画館は前のOS劇場で、画面が大きくそこに居るような臨場感があった。家に帰ってくると、殺し屋がソファに座って待っているシーンがあるが、観終わって家に帰り、灯をつける前の暗い部屋で、それを空想して恐かった。

 


小さなトランジスター・ラジオから流れるポップス、ロック、R&Bを夢中に聴いた中学生の頃。 そして1969年、ジャズ喫茶等に通い始めた頃からジャズ、ブルーズにも興味をもち、今日まで聴き続けてきました。晴れのときも、雨のときもずっと一緒だった、私の大好きなミュージシャンたちのアルバムや曲を取り上げ感想を綴ります。 あなたのお好きなミュージシャンやサウンドが、私の[エンジェルズ・オブ・ミュージック]にあれば嬉しいです。 mail

連載42
Horace Silver [Song For My Father] 1963-64年

このタイトル曲も、ジャズの聴きはじめの頃に買ったブルーノートの編集盤に入っていた曲で、大好きである。ホレス・シルバーといえば、アート・ブレ−キーとの共演で、ジャズ・メッセンジャーズを結成するきっかけとなった人で、ファンキー・ジャズのピアニストとしてよく知られている。

この[Song For My Father] は、彼の最も人気のある曲。ボサノヴァ調のビートにのってホーンがテーマを奏で、そのバッキングのピアノもカッコよく心も弾む。続いて彼がピアノソロを演奏、コロコロと心地よい響きから続いて、テナーサックスのジョー・ヘンダーソンのソロである。次第に熱を帯びてくる感じがよく、勢いがある。ジョー・ヘンダーソンはリー・モーガンの「ザ・サイドワインダー]でも共演しており、当時、ブルーノートの人気の新鋭プレーヤーだった。

このアルバムは、63年録音のブルー・ミッチェル等と64年録音のジョー・ヘンダーソンが入った、二つの異なるメンバーから成っている。オリジナルのレコードでは、6曲中4曲が64年の録音が選ばれている。やはり、勢いの違いを感じる。CDには63年録音もボーナス・トラックとして、4曲はいっている。6曲目「Lonely Woman」はホーン抜きのピアノ・トリオの演奏である。その前の5曲目が激しいだけに、しっとりとした静かさで、すごく良く聴こえる。

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