2006

「アメリカ--ホイットニ−美術館コレクションに見るアメリカの素顔」展

黄金週間に兵庫県立美術館のホイットニ−展へ行って来た。ここへ来る度に思うが、入口の濃いグレーの壁がどんよりと暗くて重苦しく、美術館に入る期待感がそぐわれる。建築家はもっと、来る人の気持ちをわくわくさせるようなことを考慮してほしいものである。そして、動線もずっと奥まで歩かせて、また戻ってエレベーターに乗るのが、納得いかない。道路に面したところですぐチケットを買ってエレベーターに乗るようにできないのか。ファサードが余りに殺風景で無機的で無駄な空間である。前の王子公園のところのほうがよかった。

このホイットニ−美術館は20世紀のアメリカン美術のコレクションで、エドワード・ホッパーなどが有名である。リストによると今回46点が来ていた。マーク・ロスコ、ロバート・マザーウエル、フリッツ・クライン、フランク・ステラ等の抽象画、アンディ・ウォーホル、ロイ・リキテンスタイン、ロバート・ラウシェンバーグ、ジャスパ−・ジョ−ンズ等のポップ・アート、ジョージア・オキーフ、ウェイン・ティーボー、キース・へリング、ジャン・ミッシェル・バスキア等メジャーなところはおさえてあった。

ただ、ジャクソン・ポロックが期待に反して、いい作品が来ていなかった。もっと全面ドッロッピングのものが観たっかった。ニューヨークで観たとき、以外と渋い色でいろんな色があってもマットでギラギラした感じはなく、良い印象がある。エドワード・ホッパーも真夜中のカフェや2階のベランダに女の子が座って何かを見ている作品が観たかったが、望みすぎであろうか。デ・クーニングやアレキサンダー・カルダーが全くないのも残念であった。

それでも、私の好きなマーク・ロスコ、ロバート・マザーウエル、フリッツ・クライン、ロバート・ラウシェンバーグが観れただけでもよかったかも。そしてウェイン・ティーボーのケーキは、いつ観ても美味しそうでうれしい気分になる。アンディ・ウォーホルのプレスリーもシルクプリントのムラの具合が何かいい感じで、好きなものを観ていい日であった。 
間もなく終わる5月14日まで

「寝ずの番」マキノ雅彦監督  中井貴一、木村佳乃、長門裕之、富司純子、笹野高史、岸部一徳

大阪が舞台の上方落語一門のはなし、笑福亭松鶴がモデルの中島らもの原作、マキノ(津川)雅彦初監督作品である。臨終まぎわの師匠の「そ○が見たい」というお言葉を聞き違え、弟子の嫁の木村佳乃が師匠にまたがってスカートをめくる、つかみから笑かされる。

次々と繰り広げられるお通夜のシーンで語られる思い出話、騒動話が楽しい。悲しい場なのに飲んで話をしている間にテンション上がって大騒ぎ、どんでもないことやってしまう。落語の噺にある、カンカン踊りを遺体を起こして一門で踊るシーン、無茶苦茶で面白い。やはり笑える映画はいい。

コレぽっちも才能を受け継いでいない師匠の息子が、師匠から「おまえはヤカンが大きいんや、そやから沸くのも時間がかかるんや」といわれるヤカンの話もよかった。弟子達に「早よ、ガスつけな沸きまへんで」「ヤカンに穴あいてんのとちゃいまっか」と突っ込まれ怒る息子は岸部一徳。ハワイで、にせマリファナをつかまされるエピソードは、効いたつもりになって、みんな可笑しくなって大笑いでハッピーである。 

芸者遊びの歌合戦はオ○○、チ○○の連発で大盛り上がりなど、エピソード満載である。悲しく湿っぽいお通夜よりこんな賑やかなほうが、あの世に旅立つ人も喜んでいるのかも。R15に指定されて、監督が「何で?」と思ったそうだが、「禁止用語連発の為」という回答だったらしい。監督曰く「下品だけれど芸品がある」---おあとがよろしいようで。 梅田ガーデンシネマで上映中

連載-AMERICAN PHOTOGRAPHS-19
Wasington,
D.C.

リンカーン・メモリアルとワシントン・メモリアルの間にある細長いレフレクティング・プール。名前のとおり完璧に風景が反射している。トム・ハンクス主演の映画「フォレスト・ガンプ」でここに凄い数の人が集まっているシーンがあった。

小さなトランジスター・ラジオから流れるポップス、ロック、R&Bを夢中に聴いた中学生の頃。 そして1969年、ジャズ喫茶等に通い始めた頃からジャズ、ブルーズにも興味をもち、今日まで聴き続けてきました。晴れのときも、雨のときもずっと一緒だった、私の大好きなミュージシャンたちのアルバムや曲を取り上げ感想を綴ります。 あなたのお好きなミュージシャンやサウンドが、私の[エンジェルズ・オブ・ミュージック]にあれば嬉しいです。 mail

連載19
Elmore James [The Complete Fire and Enjoy Recordings]
1959〜63年録音

先月に続いてのエルモア・ジェイムスの後期ファイア−、エンジョイ・レーベル盤である。このアルバムは録音途中までや、オルタネート録音等をも含んだ、コンプリートとあるようにCD3枚組の完全盤である。お得意の3連スライド・ギターも健在だが、初期に比べるとやや勢いが弱いように感じる。しかし、ビートはバラエティを増し、録音も良く、歪んだギターの音がワイルドでよりカッコいい。スロー・ブルースもより素晴らしくなっていて、初めて聴いてみようという人にはこの後期のほうがより楽しめるであろう。

そのスロー・ブルース「The Sky Is Crying」はアルバート・キングがカバーして、それを聴いたスティーブ・レイボーンが、アルバート・スタイルでまたカバー。また、エリック・クラプトンも1975年の「安息の地を求めて」でカバーするなど今に受け継がれている。エコーがかかったような音のギターに加え、じっと聴きいってしまうシャウトするゴスペル的なヴォ−カルも素晴らしい。60年代のR&Bの時代にもマッチして、当時ヒットしたそうである。その他、ジミ・ヘンドリックスがカバーしている「My Bleeding Heart」、ストーンズのメンバーとライ・クーダ−が共演した「ザ・エドワード」でカバーした「It Hurts Me Too」などのスロー・ブルースも入っている。その他、クラプトンの大ヒットアルバム「461オーシャン・ブールヴァード」では、「Talk To Me Baby」を「I Can't Hold Out」というタイトルでカバー。ジョニ−・ウィンターも「Shake Your Money Maker」をカバーしたりとロック・ミュージシャンにとても愛されている。

もうひとつのアルバム「Whose Muddy Shoes」シカゴブルースでお馴染みチェス・レコードから出たもので、エルモア・ジェイムスのレコーディング初期の1952年と晩年の1960年に録音されたものが収められている。しかし、このアルバムにはエルモア・ジェイムスと全く異なるスタイルのブルースマン、ジョン・ブリムというのも入っている。しかも両面で交互になっていて、スライドでも弾いていれば、まだ聴こうというものだが、簡単に曲を飛ばしてエルモア・ジェイムスだけ聴けるようにCDで買い替えたほどである。チェスは、いいかげんなレコードを出したものだ。全録音が8曲しかないので、そうするしかなかったのか?AB面にはっきり分けてもらいたいと思ったが、CDとなった今はAB面などない。

1952年の録音もいいが、晩年の1960年に録音した4曲はさらに素晴らしい出来である。「The Sky Is Crying」の同じタイプのスロー・ブルース「The Sun Is Shining」とTボーン・ウォ−カーの「Call It Stormy Monday」のカバーは思い入れたっぷりにシャウトして聴かせる。ミディアム・テンポの「Talk Yo Me Baby」はこちらの録音のほうがファイア−盤よりよい。1963年心臓の持病で45歳の若さでなくなる。ジャケットは彼のモノクロ肖像写真のこのチェス盤が、いちばん良い。いずれのアルバムも私の愛聴盤で、これからも変わりなくエルモア・ジェイムスを聴き続けていくであろう。

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