早いものでもう2年5ヶ月ぶり、2003年の個展です。

11月19日水曜〜23日日曜の正午〜午後7時(最終日の日曜は午後6時まで)
靱公園南側の通りにあるギャラリー[メゾンダール]で開催します。
ご高覧ください。
場所はギャラリーのホームページをご参照ください。
シルクプリントも展示いたします。

 

印象に残る映画は人それぞれです。生い立ちや見たときの状態で共感したり、目に焼き付いた映像、忘れられない台詞、的を得たグッとくるサウンド、主人公に感情移入する演技やストーリー展開。アクション、コメディ、ホラー、ミュージカル等々好みのタイプでいろいろです。
私が見た好きな映画100本の印象を綴りながら連載しています。遥か前に見た記憶なので思い違いがあると思います、お気づきの点や共感されたこと、違う見方のご意見がございましたらメールをお願いします。

連載081
レナードの朝[Awakenings]USA 1990
監督:ペニー・マーシャル

主演:ロバート・デニーロ、ロビン・ウィリアムズ、ジョン・ハード、マックス・フォン・シドー

幼い頃、目を閉じてまた目を開けたら一瞬に朝になっていたような記憶がある。ある日、若者が目が覚めて鏡を見たらおっさんが写っている、「誰?俺‥‥」すごいショックだ。ずっと昏睡状態でも体は老化する。薬の投与により30年ほど眠っていた人が目を醒ます、実際にあった話をもとにしている。

1995年のローリング・ストーンズのコンサートで東京に行ったとき、小さい頃住んでいた杉並の高円寺を40年ぶりに訪ねたことがあった。駅から直ぐの神社と坂道を降りるところの公園は残っていた。広いと思っていた車が通る道がずいぶん狭かったのと、細い材木が渡してあった上を歩いて落ちそうになった小さい川にはコンクリートで蓋がされ遊歩道になっていた。住んでいた付近の、甘茶を飲んだお寺もあった。神社、お寺は残っているが、自然のものがないので町並みは全く変わっていた。曲がり角の風呂屋、コッペパンにジャムやマーマレードやチョコレートを塗ってくれる店は当然なく、紙芝居を見ていたあたりは環七通という広い道路になっていた。

私の場合は、いろいろな移り変わりを見ながら生きてきているので40年ぶりに訪ねても納得はするが、担当医(ロビン・ウィリアムズ)が目覚めた患者(ロバート・デニーロ)を外に連れ出し、30年ぶりに街を見ればタイムマシーンで未来に来たようなものである。車で移動中にラジオのスイッチを入れると、時は1969年、ゾンビーズの[タイム・オブ・ザ・シーズン]が流れる。大好きな曲を思いがけなく聞けて嬉しかった。にくい選曲である。家族の見舞いに来る女性と知り合って恋をするが、体調に変化がくる。病んでやせ細っていく姿を見せたくない。元気だった頃の姿だけを記憶に留めて欲しい気持ちからか、「もう会うのは止めよう」と別れを告げるシーンは、せつない。 

幸いにも、ずっと健康できたので「生」について意識の薄い私だが、「元気で生きているっていいな」ということを感じさせてくれた映画である。ペニー・マーシャル監督は[ビッグ]でも朝起きると体だけ大きくなって、中は子どものままという少年が体験する風変わりな世界をコメディで創っていた。こちらはシリアスではあるが、体は年とっていても、心は若いままという同じようなテーマを取り上げている。


連載082
カメレオンマン[Zelig]USA 1983
監督:ウディ・アレン

主演:ウディ・アレン、ミア・ファロー他

30年前のハービー・ハンコックのアルバム[ヘッド・ハンターズ]の[カメレオン]のベースとドラムスの絡みが、今聞いてもかっこいいなと聞き入っているこの頃。そのカメレオンとは全く関係ないが、ウディ・アレンがカメレオンのように集団の中に入ると、変化する特異体質の男を演じている。「郷に入りては郷に従え」の古い諺とは違う「群に入りては群になれ」である。チャイナタウンの阿片窟では、目が細くなって中国人のようだったり。黒人のバンドにいるときは、肌が黒くなってトランペットか何かを持っていた。古いフィルムを使って合成したヒットラーの演説のシーンは、ユダヤ人のウディがドイツ軍の兵士になりすますのは自虐的ジョークである。これは後に、ジョン・レノンと同席している永瀬がカップヌードルを食べているなど、いくつかのバリエーションのあったCMがつくられていた。

架空の特異体質の男を、昔の記録フィルムと合成させたドキュメンタリータッチで、こんな人間がいたような錯覚にさせるこのアイデアが面白い。内容は殆ど忘れているが、見た後楽しい気分だった記憶の残る映画である。

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