レトロなカフェ&ギャラリーがオープン

7月7日より友人の写真家が、大阪天満宮の近くでカフェ&ギャラリーを始めた。コーヒーの味について試行錯誤を重ねているときに何度か試飲したが、いつになく真剣な表情でマスターのヒロ氏が、おいしい珈琲を入れている。

壁には1ヶ月ごとに写真やアートが展示される。今は、岩崎さんのモノトーンの版画が店の雰囲気にしっとりマッチしている。表のウィンドウにも写真家でマダムのキヨコさんの写真を展示しているが、これも時折入れ替わる。そして、おじさん、おばさんには懐かしく、若者には60年代ブームで新鮮に聞こえる50〜60'Sのスタンダード、ポップス、映画音楽、ボサノバがさりげなく流れている。

友人宅のリビングでくつろいでいるような、落ち着いたレトロな雰囲気の中で写真集や画集も自由に見られるので、アイデアの閃きに本をめくりながら憩うのにぴったり。ゆったりした時間が流れる、今の言葉で「スロー・ライフ」な喫茶&画廊である。

 

天満宮東門の少し東。南森町より国道1号線を東へ、若杉ビルのある交差点を南へ通2つ行った角にある日経新聞販売店の隣。上のロゴの看板が目印。

第2・4土曜は夜8時よりプロジェクターの大画面で観る、昔懐かしい洋画・邦画の会を開催。
第1・3木曜は夜8時より11時までは、私が見習いマスターでブルーズ、R&B、60〜70'Sロックなどを流す予定。

岩崎玉江さんの版画
8月末まで展示中

印象に残る映画は人それぞれです。生い立ちや見たときの状態で共感したり、目に焼き付いた映像、忘れられない台詞、的を得たグッとくるサウンド、主人公に感情移入する演技やストーリー展開。アクション、コメディ、ホラー、ミュージカル等々好みのタイプでいろいろです。
私が見た好きな映画100本の印象を綴りながら連載しています。遥か前に見た記憶なので思い違いがあると思います、お気づきの点や共感されたこと、違う見方のご意見がございましたらメールをお願いします。

連載073
ビッグ・ウェンズデー[Big Wednesday]USA 1978
監督:ジョン・ミリアス

主演:ジャン・マイケル・ヴィンセント、ウイリアム・カット、ゲイリー・ビジー、リー・パーセル

1964年頃アストロノーツのインスト曲[Movin']が日本タイトル[太陽の彼方に]として、その夏にブレイクした。あのペチャペチャした音がすごく新鮮だった。「ノッテケ、ノッテケ、ノッテケ、サーフィン。太陽の彼方‥」日本語の歌詞まで付いて、あまりイケてなかったが日本人の誰かが歌っていた。サーフィンと言う言葉を初めて聞いたのは、その時だったと思う。ビーチ・ボーイズの[Surfin' USA][Surfin' Safari]は少し後になって知った。そして、ベンチャーズを中心にテケテケテケの「エレキ・ブーム」がやって来る。シャンティーズの[Pipe Line]なんかも大好きだった。

この映画は60年代初めの頃、サザン・カリフォルニアでサーフィンに情熱を燃やし、そしてベトナム戦争に巻き込まれていく時代の青春映画である。ベトナム戦争でサーファー仲間が亡くなったり、結婚、仕事などで仲間も離れていき次第にサーフィン熱が冷めてくる。自分の青春が過ぎていくのを感じながら、結婚したり、仕事をこなしてという堅気な日常的生活に踏み込みたくない葛藤。誰でも振り返ってみると、青春の終わりの頃が思い当たる。

何といってもこの映画の見所は、ビッグ・ウェンズデーという大波に乗るシーン。大波がくるのだから、 もっと風が強くなったりしてその予兆を感じさせるシーンを入れてほしいものだが、すんなりやって来る。 しかし、ライディングのショットは素晴らしい。次々と波に乗る映像に見入って、波の中に入ってパイプライン=チューブを疑似体験できる。波と格闘しながら大きなカメラを数限りなく回して撮影したのだろうなと思うと、苦労が伺える。サーフボードを抱えてビーチで出会うサーファー仲間達は、直ぐにうち解けあの頃に戻っていく。私も、サーフィン・ミュージックに限らず青春の頃のサウンドを聴くと一瞬にその頃が蘇る。

今、新しいサーフィン映画[ブルークラッシュ]が大阪はシネ・リーブル梅田で上映されている。波に乗る気分を、また大きな画面で味わいたい。


連載074
スタンド・バイ・ミー[Stand By Me]USA 1986
監督:ロブ・ライナー

主演:リバー・フェニックス、ウィル・ウィートン、コリー・フェルドマン、リチャード・ドレイファス

映画を見る前に雑誌などのシネマガイドなどで、あまり情報過多になると面白さが半減してしまう場合や、 TV・雑誌・ラジオの予告編前宣伝やマスコミの情報に煽られて見に行くと、風船のように膨らんだ期待がシューと抜けていくことが多い。 SFXを駆使したハリウッド大作は制作費が莫大なので、コケる訳にいかない。さらに広告費をかけて動員を計ろうとする。「キアヌの来日インタビュー見た!」「バディの修正が何でも可能姉妹やら芸NO人が試写会に行くのもテレビでやってたわ」「テレビの広告みたら、何かすごいんちゃう、ムッチャ見たいわ!」というような会話があったかどうかは知らないが、ワッと押し掛けているようである。先日、友人が「チケットを貰ったので行きます?」と誘われ「ムッチャ見たかったんです」とは言わなかったが、話のネタ?話のタネにと、ウダウダ言うわりにはキッチリ観に行ってる、リローデッド。

全く関係ない長い前ふりになってしまったが、この[スタンド・バイ・ミー]はそんな前知識は全くなく、「ベン・E・キングの歌と関係あるのかな」というぐらいのことで見に行ったら、これがなんとすっかり魅せられて、エンドロールでスタンド・バイ・ミーの曲を聴きながら、席を立たずにしみじみと余韻に浸った記憶がある。何事にもあまり期待はしないほうが、意外な感動がある。

子どもは、ちょっとした体験でも一人で、または自分たちだけでやり遂げると大きな自信になり成長する。わずか2日の冒険旅行でも、男の子達がそれぞれ家に帰るときには逞しくなっていたのが映画から感じられた。 私の小学生の頃、自転車に乗れるようになって暫くしていつもの行動半径から大きく飛び出し、知らない処へ行った小さな冒険があった。それからは一人で遠くまで行けるという自信とちょっと大人になったような気がした。その時は大変だったりしても、後になって振り返れば懐かしく、また、些細なことで悩んでいた若き日の自分を笑ったりもできる。人は大なり小なりの冒険を積み重ねて成長していく。これは10代に限らず、50代でも冒険はある。10代より経験を積んでいるので、些細なことでは動じないが、新たなことに立ち向かうときは同じである。

原作はスティーブン・キング、いつもの怖い話ではなく少年時代の爽やかなストーリーだが、死体を探しに行くとか、早食い?大食い競争で吐き出すシーンなどは彼らしい一面をのぞかせる。映画は小説家になった主人公の回想の形をとっているが、自分の子どもの遊ぶ姿を見ながら若き日を想い、これから数々の人生の冒険をするであろう子ども達を暖かく見つめる眼差しがある。
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