まさに夏向きの映画であるが、残念ながら暑くなる前の8月1日で大阪の上映は終わってしまった。[ビッグ・ウェンズデー]では男の友情だったが、今回は女の子の恋と友情と家族の絆の分かりやすい展開である。この映画はストーリーよりもサーフィンのダイナミックで美しい映像を楽しめる。オアフ島ノースショアの空撮で捉えた大きな白い波が美しく、ボードでパドリングする目線で撮られた波も体感的。また、波をくぐり抜けたり(ドルフィンスルー)ボードから落ちて(ワイプアウト)海中を泳ぐショットも水の泡や様々な流れが美しい。海の中で聞こえるボコボコというような音も、自分が水の中でもがいたときの記憶を呼び起こす。

何といってもチューブの中の疑似体験である。チラシによると、ブルースクリーンや水槽撮影は一切なしの水中撮影で、カメラは[007ダイ・アナザー・デイ]も撮っているドン・キングという人だそうである。 大会では実際のプロ・サーファーが見事なライディングを披露する。大波のチューブをライディングするショットは素晴らしい。主人公は大会で優勝を逃すが、以前サーフィンの事故でトラウマになっていたのを克服するという展開は出来過ぎのハッピーエンドでなくて良い。ハワイや南の島でサーフィンといかなくてもボディボードを楽しんだり、夕日を眺めたりビーチを散歩するような、海の近くで暮らす生活に憧れを抱いて観ていた。海に行きたい。

印象に残る映画は人それぞれです。生い立ちや見たときの状態で共感したり、目に焼き付いた映像、忘れられない台詞、的を得たグッとくるサウンド、主人公に感情移入する演技やストーリー展開。アクション、コメディ、ホラー、ミュージカル等々好みのタイプでいろいろです。
私が見た好きな映画100本の印象を綴りながら連載しています。遥か前に見た記憶なので思い違いがあると思います、お気づきの点や共感されたこと、違う見方のご意見がございましたらメールをお願いします。

連載075
ショーシャンクの空に[The Shawshank Redemption]USA 1994
監督:フランク・ダラボン

主演:ティム・ロビンス、モーガン・フリーマン他

18年ぶりに阪神タイガースは、優勝目前である。野村監督時代以前から阪神については見て見ぬ振りをして、野球なんか興味ないという顔をしていた。しかし、今年は全く違う。勝った日はスポーツ・ニュースのハシゴをしている。勝った日の翌日、昼ご飯を食べに行った時は、店のスポーツ新聞を拾い読みしている。甲子園にも2度も足を運んだ。2勝0敗、私が行った日は負けない。こういうのをにわかファンというのだろうが、40年前、投球フォームがかっこよくて大好きだった熱投村山投手、クラスのチームでショートを守っていたので憧れていた華麗な守備の吉田選手や小山、バッキー投手等のいたころの阪神ファンである。

ネヴァーネヴァーサレンダー、阪神ではないが、希望を捨てない希望を持ち続けるという映画である。かなり長い間刑務所に入っているのが、主人公のところのポスターが、リタ・ヘイワース、マリリン・モンローそしてラクウェル・ウェルチへと張り替えられているので察せられる。40年代後半から60年代後半の20年ほどである。その間こつこつと小さいハンマーで堀り続けるというのは、凄い根気である。彼がオペラのアリアを拡声器で流すシーンがある。みんなが空を眺め天使の歌声に耳を傾け、希望を失っていた心に少し光をみる。屋上でビールを飲むシーンは、つかの間の自由を満喫。彼の自由を求める努力に触発され、ムショ仲間は自分の希望を持ち始める。

原作はスティーブン・キング、初めて知ったときはホラーばかりでなく何でも書ける人なんだと意外な驚きだった。物語、映画にはエンディングが肝心である。最初から途中まではいいのに「エンディングがなぁ」というものがよく見かけられる。明るい日差しのビーチで、再会する親友となった二人。開放され、自由を満喫する二人の未来が見えるような素晴らしいエンディング。ネヴァーネヴァーサレンダーの気持ちを持ち続けれることが、人生の大切なことであると見せてくれる。


連載076
椿三十郎 1962
監督:黒沢明

主演:三船敏郎、仲代達矢、加山雄三、入江たか子、伊藤雄之助、団令子、志村喬、小林桂樹、他

桑畑三十郎の[用心棒]が大ヒットして、[椿三十郎]として再び登場した映画である。中学のとき映画館の前に、仲代達矢の体から血が噴き出している大きな手描き看板があったのを覚えているが、初めて観たのは20代になってからだったと思う。長いにらみ合いの間があり一瞬で決着するシーンは、黒沢監督はウエスタンの決闘をイメージしたのではないだろうか。

三十郎と彼につきまとう金魚のふんのような9人の若い侍が、多数の相手と対抗するのに作戦を立て右往左往している中、城代の奥方と娘が「隣の椿がきれいですわ」などとほのぼのとした会話を交わしたり、捕まった相手方の見張り役の小林桂樹のとぼけた感じが喜劇タッチになっている。緊迫感のある[用心棒]より心なごませるところが、[椿三十郎]の好きなところだ。男臭さあふれる三十郎は、剣客のみならず相手の動きを読んで作戦をたてる頭のいい素浪人。お城勤めなどまっぴらごめんのアウトローな生き方に共感するキャラクターである。

最近、友人にDVDを借りて観たが、映画製作についてのおまけがあって興味深かった。造花の椿の花を黒く塗ってモノクロの中での赤を強調する工夫がしてあった。今の時代劇では普通に観ているが、斬るときに効果音を入れるのも、初めてのことだったようである。裏方の試行錯誤の努力が伺える。決闘の血が噴き出すエピソードも面白い。ポンプが新しくて、思っていたより勢いよく出たらしい。仲代達矢はNGを出さないようにと、脚を踏ん張って倒れないよう耐えたそうだ。監督はその時々に決断を迫られるのが大変だが、OKを出した。予想以上に驚きの迫力あるシーンが撮れたということだろう。黒沢映画の最も好きな作品のひとつである。
what's news

ブルークラッシュ(2002年USA)
監督:ジョン・ストックウェル
DVDカバーより