大阪城「城の灯りの景・夏」

このイベントは8月17日18日に大阪城天守閣で行われた。自宅から近いので、ものぐさな私も散歩がてら見に行った。

大阪城のライトアップは、遠くから見るとくっきり浮かび上がっていいが、ほのかな灯りを見るこの会場では明るすぎる。おまけに外灯もついているし、演奏ステージもライトアップされていた。

琴の演奏はPAを通した音が歪んでひどかった。生音で小さくても、かすかに聞こえるほうが風情があって、いいのではないだろうか。ゴスペルの合唱はいらないと思う。

とかくイベントを賑やかに、華やかにしがちだが、静かで地味なものもあっていいと思う。私はたくさんの小さな灯りが広がる、静かで幻想的な空間を楽しみたかった。

印象に残る映画は人それぞれです。生い立ちや見たときの状態で共感したり、目に焼き付いた映像、忘れられない台詞、的を得たグッとくるサウンド、主人公に感情移入する演技やストーリー展開。アクション、コメディ、ホラー、ミュージカル等々好みのタイプでいろいろです。
私が見た好きな映画100本の印象を綴りながら連載しています。遥か前に見た記憶なので思い違いがあると思います、お気づきの点や共感されたこと、違う見方のご意見がございましたらメールをお願いします。


連載053
冬冬の夏休み[冬冬的暇期]台湾 1984
監督:ホウ・シャオシエン 

主演:ワン・チークァン、リー・ジュジェン、グー・ジュン、エドワード・ヤン

夏休みが終わって子ども達はしぶしぶ学校へ、お母さんはホッとする時期である。自分の小学生の頃の夏休みの思い出といってもあまり浮かんでこないが、子どものことを殆ど構わない父親にしては珍しく、阪神・巨人戦に連れて行ってもらった事があった。父親本人が行きたかったのであろう。1962年(昭和37年)、1964年(昭和39年)の阪神優勝以前の1960年頃である。その頃、日曜日はダブルヘッダーで2試合観戦した。土曜日は巨人が勝っていて、その日の薄暮ゲームも巨人の勝ちだった。全員は覚えていないが、巨人はサード長嶋、ショート広岡、ファースト与那嶺、王はまだレギュラーになっていなかった。阪神はサード三宅、ショート牛若丸吉田、ファースト藤本。ダブルヘッダー2戦目に大好きだった村山が投げ、巨人のハワイ出身の宮本がホームランを打ったが、阪神が勝ったのをかすかに覚えている。

夏休みに、冬冬という小学生が妹と一緒に、台北から祖父の家のある田舎へ遊びに行く。電車を降りた駅の前に小さなロータリーがあった。冬冬はそこで、都会っ子らしく自慢のラジコン・カーを走らせる。それを見ていた地元の子が、ラジコン・カーと同じ位の大きさの亀を歩かせる。亀は操作をしなくても勝手に動いた。あたりまえだが、冬冬はそれが気に入って、交換を申し出る。祖父の家に着いてから、地元の子ども達が亀を手に押し寄せてくる。そんなことで、すぐに友達がたくさんできて、自然の中で思いっきり遊ぶ夏休みが始まる。

ホウ・シャオシエン監督は日本の敗戦、撤退から蒋介石の国民党が台湾へ逃げて来る頃の、激しい変化の中を生きる台湾の人々を描いた[非情城市]が有名である。私としては、監督の少年時代の記憶をたどったような[童年往事]や[恋恋風塵]そしてこの映画のほうが好きである。昆虫採集や魚釣りに全く興味が無く、泳ぎも苦手だった自分の夏休みがほとんど思い出せないのに、大きな木のある神社?や、川で遊んだりしている子ども達、妹を助ける知的障害の女(私のまわりにもこんな人がいた)、古い家などの映像がどこか懐かしい。

連載054
ザ・バンド ラスト・ワルツ[The Band The Last Waltz] USA 1978
監督:マーティン・スコセッシ

主演:ザ・バンド、ボブ・ディラン、ニール・ヤング、エリック・クラプトン、マディ・ウォーターズ、ヴァン・モリスン、ジョニ・ミッチェル、Dr・ジョン他

25年を経てラスト・ワルツの完全版4枚組CDボックスセットが発売された(DVDは11月2日発売)。アナログ盤より16曲も追加され、曲順もコンサートと同じに組み替えられているそうである。私にとってこのバンドは思い入れが強く、映画もすぐに見に行き3枚組アルバム・レコードも買った。そして、撮影されたザ・バンドのファイナル・コンサートの会場が、サンフランシスコのウィンターランド・アリーナというのも行ったことがある場所だけに、より親しみを感じていた。

かってピッピーの聖地(最近イスラムの人達が「メッカを気安う使こうたらアカン」言うてるらしい。焼き肉のメッカ鶴橋、ナンパのメッカ戎橋、恋のメッカ桜宮、こんなん)だったへイトアシュバリーや伝説のライブハウス、フィルモアウエストから近いウィンターランドは名前の通り古いアイススケート場だが、フィルモア亡き後も地元のグレイトフル・デッドをはじめ数々のコンサートが行われていた。私は1975年に[Red Octopus]のアルバムを出した頃のジェファーソン・エアプレインや[Over My Head]の白いアルバムが大ヒットしていたフリート・ウッドマックのライブをここで見たことがある。ウィンターランドが会場に選ばれたのは、プロモーターがかってフィルモアを設立したプロモーターのキング、ビル・グラハムの地元であり、ザ・バンドが1969年にグループとしてのデビュ・コンサートがここだったようである。

[ウッドストック]をはじめ音楽ドキュメンタリー映画は70年代に数多く制作されている。私が見て知っている限りでも、エルビスが派手な衣装で復活の[エルビス・オン・ステージ]、レコーディングの現場を垣間見た[レット・イット・ビー]会場警備にあたっていたヘルズ・エンジェルズ(Health angelsと思っていたが、ではなくHells angelsでえらい違い)が観客ともめて殺してしまうシーンまで捉えた[ザ・ローリングストーンズ・イン・ギミーシェルター]、ジョージ・ハリソンが発起して救済支援のために行った[バングラデッシュのコンサート]、ジョー・コッカー&レオン・ラッセルの賑やかでエネルギッシュな[ウイズ・ジョー・コッカー]、最後のコンサートのドキュメント[フィルモア最后の日]、エンディングに花火が炸裂するアメリカでのコンサートツアーの[ザ・ローリングストーンズ・レッツ・スペンド・ナイト・トゥゲザー](これは1981年)などがある。

この映画がこれらの音楽ドキュメンタリーと少し違うのは、マーティン・スコセッシ監督がイントロとエンディングに最後の晩餐のようなドラマを感じさせるパートを加えていることである。舞踏会がザ・バンドとイメージが合っていない気もするが、ロビー・ロバートソン作曲の[ラストワルツ]が最後の別れに相応しく、センチメンタルな雰囲気を創りだしている。ロバートソンがファイナル・コンサートを映画にするのを、スコセッシ監督に依頼をしたそうだが、[タクシー・ドライバー]やその他の映画の音楽の選び方が気に入っていたようである。

60年代半ばから聞き続けてきて、心のよりどころであったロックのひとつの大きな灯が終焉を迎え、80年代の始めには、イーグルズ、ドゥービー、リトル・フィートなどウエストコーストの灯も次々と消えていった。そして、より商業的なイギリスのポップスやマドンナ、マイケル・ジャクソンなどが隆盛を極めてきてからは、私の心のなかではロックは過ぎ去った感があるが、今も頑張るニール・ヤングやボブ・ディランに拍手を送りたい。コンサートはザ・バンドに関わりのあった人達が次々と繰り広げる演奏は素晴らしいが、中でもボブ・ディランと[Forever Young]を演奏している時のロバートソンの表情が、感極まっているのが印象的だった。
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