[ギャラリー・リボン常設展]で展示中!

ホームページに載せている97年の個展の3点を [ギャラリー・リボン常設展]で展示しています。
7月3日(月)〜15日(土)12:00〜19:00 (日曜日は休廊、最終日は16:00)
原画を見てみようという方は訪ねてみてください。 旧関西テレビの通りを東へ読売新聞社の方へ少し行ったところです。
北区西天満6-4-13グランビルド荒木1階  06-6361-5720

印象に残る映画は人それぞれです。生い立ちや見たときの状態で共感したり、目に焼き付いた映像、忘れられない台詞、的を得たグッとくるサウンド、主人公に感情移入する演技やストーリー展開。アクション、コメディ、スリラー、ミュージカルなど、映画のタイプの好みでいろいろです。
私が見た好きな映画100本を選んで印象を綴りながら連載します。月1本だと9年もかかるので数本づつする予定です。遥か前に見た記憶で書いているので思い違いがあると思います、お気づきの点や共感されたこと、違う見方のご意見がございましたらメールをお願いします。


連載001 
卒業 [The Graduate]USA 1967    
監督:マイク・ニコルズ 
主演:ダスティン・ホフマン キャサリン・ロス アン・バンクロフト 

1968年新緑の頃、サイモン&ガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」や「ミセス・ロビンソン」「スカボロー・フェア」がラジオからよく流れていて、気に入って聞いていた。そして、これらの曲が映画のサントラというのを知って、地震で無くなったが三宮の駅前にあった新聞会館の7階のスカイシネマに見に行った。7月の暑くなった時期で、暑さから逃れてギンギンに冷えた暗やみで見たのを覚えている。

映画の前半で画面がブチッと真っ暗になって「サウンド・オブ・サイレンス」のイントロが静に流れ、そして 大学は卒業したものの、自分の目的が見つけられず無気力な主人公のベンがプールに浮かんでいるシーンがででくるところが、印象に残っている。ウエストコーストの真っ青な空と水色のプールの色がなんともアメリカだなぁという感じがした。

この「卒業」をはじめとして一連のアメリカン・ニューシネマを見て、音楽と共にアメリカン・カルチャーをどっぷり浴びて酔いしれていた私は、1975年全米をまわる旅に出かけた。ベンが赤いスポーツカーに乗ってバークレーに向かって橋の上を走るシーンがある。サンフランシスコでこのオークランド・ベイブリッジを渡ったときにそのシーンを思い出した。しかし「なんや、違うやん」と思った。実際は橋の道路が上下2段になっていてバークレーに向かう場合は下の道路なのだが、事実を知ってガッカリしたのを覚えている。まぁ、映画は夢のようなものだから、現実的な見方をしても仕方がない。映画ではよくあることである。

バスでにっこり笑って顔をみあわせる二人がさわやかなエンディングで「やったネ、ベン」と共感する若いときにしか感じえない青春映画である。

その後、私は阪急文化、ビッグ映劇、元映、大毎地下、北野シネマなど、あちこちへ通うようになる。「卒業」は私のシネマライフの入学であった。


連載002 
マイライフ・アズ・ア・ドッグ [Mitt Liv Som Hund] 
スエーデン 1985 
     

監督:ラッセ・ハルストレム

「ソ連の人工衛星に乗って宇宙へ旅立ったライカ犬は食料が尽きて空腹で死んでしまっただろう。そんな犬の事を思えば僕は運がいい。」イングマル君は小さいのにけなげである。

お父さんはバナナの出荷で南へ行ったきり(一度も出てこない)。兄によくいじめられては、大騒ぎで病気がちのお母さんは気が休まらない。そんなお母さんの具合が悪くなり入院するので、兄弟別々に預けられイングマル君はおじさんのところへ行く。夏休みに行ったことのあるところだけど、小学生が母親と離れて暮らすのは寂しいし、かわいがっていた犬を連れていけないのが心残りだった。寂しいときは夜空を眺めてライカ犬と自分を比べ慰めるイングマル君であった。

私も中学・高校と家の事情で家族と離れ祖父母のところで暮らした。彼ほど小さいときではないので、彼のことを思えばまだ運がいいが、共感できる境遇だった。スポーツクラブの活動に興味は無く、美術クラブに所属はしたものの顔を出すこともなく家の中で、ぼんやり空を眺めたりラジオを聞いたりの日々だった。今でもロックやR&Bなどが好きで聞き続けているのも、この頃ラジオをよく聞いて音楽好きになったからであろう。小さいトランジスタ・ラジオのチューニングのつまみを注意深く回して、いろんなラジオ・ステーションを探したりした。気に入っていたのは「9500万人のポピュラー・ヒット?」(当時まだ日本は1億人を超えてなかった。)とか言う番組だった。ビートルズの勢いがすごく何曲もベスト20にチャート入りしていた。その他にビーチボーイズやヴェンチャーズ、シュープリームス等々があった。毎週そのヒットチャートをノートに記録していたが、あのノートはどこかへいってしまって残念である。ラジオが私のよき友であった。

イングマル君が預けられたところはガラス工場のある小さな町で、そこにサッカーやボクシングの上手なサガという名の子がいて、悩みを彼に打ち明ける。胸が膨らんできて、もうサッカー・チームから外されるかもしれないと言うので、布を巻くのを手伝うシーンが微笑ましい。他の女の子のパーティに誘われた彼に嫉妬したサガが腹いせに彼とボクシングをする。犬のまねをしてふざけてボクシングをしない彼に「お前の犬は死んだ」と告げる。その夜、庭にあるあずまやに閉じこもり、世界中でたった一人きりになってしまったような孤独を感じて朝まで泣くイングマル君がいとおしい。犬との決別を体験して少年から少し大人になったであろう彼を見て、自分は何を期に変わっていったのかをふと思う。

今、このハルストレム監督の新作[サイダーハウス・ルール]が上映されている。