森反伸一郎 個展に多数ご来場いただきありがとうございました。
個展の作品は近日[CIRO'S ART WORKS]にアップロードします。

1st Temma Kaiwai Artist 展

というグループ展に出展いたします。
ご高覧ください。
最終日午後からは居ります。


7/3(火)〜15(日)AM11〜PM7

(最終日PM5、会期中無休)
ギャラリー雲母(きらら)倶楽部
TEL06-6354-2265
北区天満2-6-3コープ野村天満橋1F

地下鉄谷町線 天満橋駅
北出口2より徒歩約6分

 

印象に残る映画は人それぞれです。生い立ちや見たときの状態で共感したり、目に焼き付いた映像、忘れられない台詞、的を得たグッとくるサウンド、主人公に感情移入する演技やストーリー展開。アクション、コメディ、スリラー、ミュージカル等々好みのタイプでいろいろです。
私が見た好きな映画100本の印象を綴りながら連載しています。遥か前に見た記憶なので思い違いがあると思います、お気づきの点や共感されたこと、違う見方のご意見がございましたらメールをお願いします。


連載023
夜の大捜査線[In The Heat Of The Night]USA 1967
監督:ノーマン・ジュイスン

主演:シドニー・ポアチエ、ロッド・スタイガー、ウォーレン・オーツ

1968年のメキシコ・オリンピック。陸上競技で勝ったアメリカの黒人選手二人が表彰台に立った。星条旗があがり国歌が流れる間、じっと下を向き黒い手袋をした腕を突き上げてブラックパワーを誇示する。印象強く記憶に残っている。当時は公民権の闘争の激しいときだった。64年に公民権法が成立するが、65年マルコムX暗殺、68年マーチン・L・キング牧師暗殺などをはじめ、多くの人が犠牲になり各地で暴動が相次いでいた。そんな時代にこの映画はつくられている。メキシコ・オリンピック同様に当時この映画を見た黒人達は、大いに勇気と希望を持ったであろう。

ミシシッピーの田舎の町で殺人事件が起り、駅にいた男がよそ者・黒人=犯人という事で警察に連行される。彼は故郷へ帰る途中の北部の刑事だった。山勘だけがたよりの地元の白人警察官に対して、的確な判断と毅然とした態度で接する黒人刑事。彼の有能ぶりを認めて、白人警官はしだいに彼を頼りにし、心を通わすようになる。

いちばん印象に残っているのは、地元有力者のところへ聞き込みに行くシーン。温室で花の手入れをしているところにやって来て何かを言う。それが気に障って黒人刑事を叩くが、すぐさま彼が叩き返す。黒人に叩かれるなんて事は、生まれてから60年以上初めてのことであろう。男はショックを隠せない。レモネードを運んできた黒人の老執事は、驚いてぶるぶる震えていた。

映画の中では、今は亡き若い頃のW.オーツ(彼のパイオニア・カーステレオのCMは良かった)扮する警官がパトロールする南部の熱い夏の夜の雰囲気がよくででいた。音楽はクインシー・ジョーンズ。後にマイケル・ジャクソン、[We Are The World]を手掛けた名プロデューサーである。ブルージーなサウンドが抜群。特にレイ・チャールズが歌うタイトル曲[In The Heat Of The Night]は「カッコイイ、シブイ!」である。テープに入れていて、ときどき聞くとその映画を見た当時にタイムスリップする。音って不思議である。


連載024
スケアクロウ[Scarecrow]USA 1973
監督:ジェリー・シャッツバーグ

主演:ジーン・ハックマン、アル・パチーノ

むかしむかし1975年のこと。アメリカン・カルチャーにどっぷり浸かって、夢見がちの頼んない若者がいた。[スケアクロウ]などのアメリカン・ニューシネマに刺激を受け、奮起して初めて海外に行く。当時は、パスポートを取ってから予防接種をした。今のようにカードは無かったので、神戸の旧居留地にあった今は博物館になっているところの東京銀行でトラベラーズ・チェックにした。こつこつ貯めた60万円が当時1ドル300円でわずか2000ドルだった。

出発は7月18日。KALの1年オープンのチケットで伊丹からソウル行きの初めて乗る飛行機はプロペラ機だった。ソウルからは南まわりのハワイ経由ロス行で、ハワイで飛行機を降りて入管のチェックを受けた。長い時間狭いイスに座り続け、うんざりするほど機内食を食べ、ようやく夕方6時ごろの到着予定より3時間ほど遅れてL.A.にたどり着いた。いろいろ準備をしてきたつもりだったが、着いた日のホテルの予約の事など全く頭に無かった。今思えば、マヌケで無謀だが若いってすごいなと思う。何とかなるだろうという感じだった。飛行機がだんだんと降下をしてL.A.の街が見えたとき、光の広がりのあまりの大きさに目を見張ったのを今でもはっきり覚えている。

幸いにも、同じように「何処に泊まろう」と言っている男女3人連れが前の席にいたので同行させてもらった。一人だと不安は100%だけど、二人だと50%四人だと25%と薄らぐ。空港のホテルの案内ネオンボードの前にまつ毛まで金髪の赤ら顔のアンディ・ウォホールに似たにいちゃんが立っていた。彼に「チープ・ホテル・プリーズ」と言ったかどうか覚えていないが、連れて行かれたところは、空港近くのベスト・ウエスタン・モーテルというところだった。後の旅の途中でも何度か見掛けたホテル・チェーンで20ドルぐらいだったと思う。その後6カ月ぶらぶらとするが、そこが最初で最後のいいホテルだった。

その中の一人、今もミナミのアメ村で店をやっているTちゃんが、翌日にハリウッドに住む知り合いの中国系アメリカ人のTさんに連れられて、新聞広告で見つけた格安のワゴン車を買いに行く。たまにオーバーヒートをしたが走った。ラジオのアンテナが折れていたが針金を巻つけて伸ばす。その時、ラジオから繰り返し良くかかっていたのは、ヴァン・マッコイの[ハッスル]。今もそれを聞くとL.A.が思い浮かぶ。暫くL.A.に滞在して、一人を残しサンフランシスコまで同乗させてもらう。海岸線を行ったほうが眺めが良かったのだろうが、内陸の方が早いのでインターステイト・ハイウェイ5号線を行く。街を出るとまっすぐの道、両サイドは黄色というかゴールド色の枯れ草のような丘陵が延々と続く。このカリフォルニアの風景が[スケアクロウ]の映画の冒頭のシーンである。長い一本道にヒッチハイクをしようと立つ二人。いいショットである。アメリカを旅してロードムービーが大好きになる。

軽い知り合いや友達はたくさんいても、強い絆を持てる友はなかなか出来なかったりする。特に今の時代、他人と深いかかわりを疎外しようという傾向がある。大柄で気が短くケンカっ早いマックス。別荘から出てきたばかり人間不信である。もう一人は長い間船に乗っていた小柄のライオン。おどけて人をなごませる。人を信用しないマックスが彼を気に入って、カーウォッシュの仕事をやろうと誘い彼も話にのる。「この仕事は正直にやっていたら大丈夫だ」と言い聞かせながら。そして、ヒッチハイクしたり貨車に乗ったりしながら、途中デンヴァーに立ち寄り、デトロイトへと旅をする。マックスは人付き合いが上手くなく、今までは友達ができなかったのだろう。ライオンは彼にとって大切な信頼できる無二の親友になってゆくが…

孤独な人間同士が友情を育み、そして、その友が助けのいるときに支えてあげる。まさに真の友である。エンディングがいい。この映画は以前のロードムービーに比べ光がある。友は大事な財産であることを改めて認識する。

What's News

流行通信'91年3月号より転載