日本庭園を巡る[2]

11月上旬、友人の建築家に同行して京都の寺を訪れた。紅葉にはやや早かったが、好天に恵まれ心地よいときを過ごす。
枯山水は砂に描かれるパターンがお寺ごとに特長があって興味深い。

東福寺開山堂枯山水庭園と方丈北庭
屋根に楼閣という展望台のようなものがある特異な開山堂に向かって右は池と築山で左が枯山水の庭(左写真、開山堂側より撮影)。縦横に縞の入った市松模様になっている。どういう順で模様を作るのか考えてみたが、はっきりとはわからない。右の写真は方丈の北庭。春に見たときより幾分苔が盛り上がったように感じるが、色鮮やかだった。市松模様の所々に石がないのがいいバランスで、苔と石の織りなすモダンアートである。

建仁寺方丈庭園
京阪四条駅から祇園界隈の花見小路を歩いて、こんな近くにあるのかというロケーション。本坊に入るとお香のいい香りが漂ってくる。方丈へ行くと南向きに枯山水庭園が広がっている(写真左)。ここの庭は波状の長い縞模様で、石は5〜6個あるがあまり存在感はなく控えめに端に配置されている。廊下に座って暫し庭を眺めるが、静かで日当たりが良くなかなか居心地の良い所。右の写真は方丈の北側に安置されている、ご存知あの俵屋宗達の「風神雷神図屏風」(国宝)である。このお寺にあったのか!知らなかった。といってもこれは陶板のレプリカで本物は京都国立博物館におかれている。
東山慈照寺(銀閣寺)庭園
石と竹と椿が美しく調和した高くて長い生け垣を通って中に入ると、すぐに観音殿(銀閣)がある。まさに渋い侘び寂という感じ。その前に庭園が広がり、庭園を背景にしてこの富士山(向月台)がそびえる(写真左)。素晴らしくビシっと砂を固めてある。シンプルで美しい。この左手には波紋を表現した銀沙灘という縞模様の枯山水がある。右の写真は、庭園を奥へ進み斜面を上がって行くと庭を見下ろせる展望所があるが、その途中の道端の苔である。光が当たってきれいな色をしていた。何人もの庭師の人達の行き届いた手入れで、さりげない自然の風情を保っている。
展望台から見下ろすと観音殿(銀閣)と銀沙灘が見える。まだ11月上旬だったので、紅葉していなかった。

印象に残る映画は人それぞれです。生い立ちや見たときの状態で共感したり、目に焼き付いた映像、忘れられない台詞、的を得たグッとくるサウンド、主人公に感情移入する演技やストーリー展開。アクション、コメディ、スリラー、ミュージカルなど、映画のタイプの好みでいろいろです。
私が見た好きな映画100本の印象を綴りながら連載しています。遥か前に見た記憶なので思い違いがあると思います。お気づきの点や共感されたこと、違う見方のご意見がございましたらメールをお願いします。


連載009 
ラジオ・デイズ[Radio Days]USA 1987
     
監督:ウッディ・アレン 
主演:ミア・ファーロー ダイアン・ウィースト 

二人組みの泥棒が、夜、家の人が出かけた隙に忍び込んで物色中に電話がかかってくる。ちょっと慌てるが住人になりすまして電話に出る。それは放送局の曲あてクイズの番組からだった。幸いに二人とも音楽好きで急いでラジオをつけ、次々と曲名を答える。翌日、盗まれたものは大した被害はなかったが、放送局からトラック満載の賞品がどさっと届くイントロのシーン。いきなりつかみで笑わせてくれる。

監督自身の子供の頃を映画にしたものはいくつかあり、興味深く好きな映画が多いい、これはウッディの少年時代である。彼の作品はあまり盛り上がりや、インパクトの強いシーンは[カメレオンマン][紫のカイロの薔薇]などを除けば少ないが、脚本が面白く練ってあり、繰り返し見て楽しめるタイプの映画である。

ニューヨーク郊外の海に面した町。雨あがりのどんよりと曇った天気で、人気のないまっすぐ続く濡れた道路の向こうに白い波をたてたグレーブルーの海がひろがる。何気ない風景だが、センチメンタルな音楽とともに心に強く残っている。

彼の家はいつもラジオから心地よいスイングジャズが流れ、お父さん、お母さん、お姉さんや叔母さん達の賑やかで楽しい大家族。みんなが食卓に座っているショットは、ノーマン・ロックウェルの絵を見ているようである。音楽のほかにもドラマ、トーク、クイズなど番組制作(1940年頃はドラマも生放送だったようだ)風景と家族それぞれに好みの番組を聞いているところに、有名なオーソン・ウェルズの火星人の襲来番組事件、日本軍のパールハーバー襲撃、井戸に落ちた女の子の救出の実話と彼のエピソードを織りこんで創られている。

テレビを見ると何も出来なくなるが、ラジオは何かしながらでも聞けるのがいい。私が幼かったラジオ・デイズの頃は、夕飯の後は卓袱台を囲んでアチャコと浪速千栄子の「お父さんはお人好し」などを聞きながら宿題をしたり、アイロンかけたり、酔っ払ってあばれたりしてそれぞれに手を動かしながらラジオを聞いていた。家族が一緒に過ごす慎ましくも暖かな?ひとときがあった。


連載010 
恋恋風塵[Dust In The Wind] 台湾 1987      
監督:侯 孝賢(ホウ・シャオシェン) 
出演:王晶文 辛樹芬   

真っ黒い画面のなかに薄明るい丸がだんだん大きくなって、闇を抜けると台湾の山沿いの美しい青々とした緑が広がる。このイントロが映画的で好きだ。電車には学校からの帰りの学生、家が近所の幼馴染で毎日いっしょに通学しているのであろう。しっとりとした空気のなかの小さな駅や口数も少なくただ並んで歩く二人の帰り道の風景,野外映画の白い幕が風ではためく家の近所の広場などがなぜか懐かしく、目頭がウルっとなるいいショットである。

この映画は監督の青春時代のエピソードかどうかはわからないが、二人とも台北で働きはじめ、その後彼が兵役で軍隊に入る事になる。離れてしまう彼女に手紙をくれるようたくさんの封筒を渡す。彼女からの返事がだんだん滞って、ある日彼の弟から彼女が結婚するという手紙が来る。相手は彼の手紙を配達していた郵便配達の男だった。ちょっと可笑しいが、遠く離れた兵舎のベッドで声を上げて泣くせつないシーンが印象に残っている。

結婚相手を実家へ連れていき母親に会わせるが、お母さんは「彼に申し訳がない」と嘆く。これは彼女を責めてもしかたない。男は信念とかロマンとか夢を食べ過去を引きずって生きているが、女は今を生きる生きものである。いいものがあればそっちに行ってしまう。切り替えが早く逞しい。

ご飯を食べない小さい孫にいろいろ言い聞かして食べさせたり。けがで入院していた息子のために松葉杖を作ったり。彼が兵役に行くときは、お祝いだといって爆竹をパンパンならしながら駅まで見送る。家族思いのお祖父ちゃんがなかなか良かった。彼が兵役を終えて帰ってきたとき、畑で今年は台風のせいで農作物は出来がよくないと言いながら、人生も良いときとそうでないときがあることを、暗に彼に語る。 恋は塵のごとく風に吹かれ消えてゆく。


第7回 大阪ヨーロッパ映画祭

11月20日(月)〜26日(日)海遊館ホール
ヨーロッパ各国から厳選された、日本未公開の最新映画8本と日本・オランダ友好400年記念のオランダ映画特集4本が上映されます。その他ベルギー生まれの監督・脚本家ジャン・フィリップ・トゥーサンによる映画塾と写真展、短編映画特集、ヨーロッパ映画界の第一線で活躍中のゲストのディスカッションなどが行われる。 詳しくはホームページを。