The Straight Story by David Lynch

デビット・リンチはどうしたのだ?いつも異様でジャンキーな映像が魅力的だったのに、一転してこれは実話をもとにしたストレートで清らかな世界だ。
仲たがいして10年も会っていない兄が病に倒れた。子供の頃、夏になると星空を眺めていろんな話をしながら外で寝た仲のよい兄だった。彼に会ってもう一度仲良く星空を見ようと心にきめ旅立つ。ここまでキーを 叩いて思い出してウルウルとなってくる。これが車でアイオワ州からウィスコンシン州へ1日でさっと着いてしまったらさして感動もないけれど、70過ぎのアルヴィンは体のことなど考えて行く手段として選んだのはトラクターだった。今までにあまりなかった超スローなロードムービー。旅の途中いろいろな出会いがあるが印象に残ったせりふは、若者に年をとって困ることはと聞かれて彼が答える「若いころを覚えていることかな」
兄弟や家族の絆、いろんな出会いの大切さと、急ぎ過ぎずマイペースでやり遂げる志、たき火のゆれる炎や画面いっぱいの満天の星空が今の生活で忘れがちなものを思い起こさせ心を満たしてくれる、そんなあたたかなグレートムービー。
兄の役は[パリ・テキサス]のハリー・ディーン・スタントン。ほんのわずかの出演でセリフも少ないが、じんわりとうるんでくる目で語るショットがすごくいい。
主演のリチャード・ファーンズワースはアカデミー賞でノミネートされた。


Buena Vista Social Club by Wim Wenders

2年程前にも上映されて見た「真夏の夜のジャズ」(1960年頃)若き日に見て圧倒された「ウッドストック」や 「レット・イット・ビー」など傑作の音楽ドキュメント映画があるが、その中にまた一つヴィム・ヴェンダース監督によるラテン・ミュージックのドキュメント映画の傑作が加わっった。
出演者は92歳のコンバイ・セグンドをはじめとして、おじいちゃんと言っては失礼な筋金入りの超ベテラン・ミュージシャン。彼らが集まって演奏する事になるいきさつは映画の中で語られるが、官能のキューバ音楽の華々しい時代を奏でてきたパフォーマンスは味わいを増して私の心を満たしてくれた。
彼らの今の生活やインタビューを交えて個々の人間をうかびあがらせることで、演奏がより生き生きと聞こえてきた。また、キューバの街並も興味深くそこで見られた車は50年代以前の丸みのあるラインでなんともいい、時が止まっているよう。 コンサートのためニューヨークへ来て街角でショーウインドーを見ながらの会話もほほえましかった。
ライ・クーダーやヴェンダース等によって宝物が発掘されたかのように彼等が世界に紹介され、映画を見て一番気に入ったイブライム・フェレールの美しい歌声をCDで聞きながら残像を思い浮かべると、固まった心がほぐれてくるよう。新しい宝物を見つけてとてもうれしい気分。 8月に河内に来るそうです。

 

 

桜を見ると幸せな気分。

一年で最も美しい季節のひとつである、桜の頃も終ろうとしています。満喫されたでしょうか。 幸い、私の庵のまわりはたくさんの桜が咲き誇り、毎年目を楽しませてくれます。近くで撮ったものですが、あまり桜を見られなかった方はひととき心を和ませてください。