印象に残る映画は人それぞれです。生い立ちや見たときの状態で共感したり、目に焼き付いた映像、忘れられない台詞、的を得たグッとくるサウンド、主人公に感情移入する演技やストーリー展開。アクション、コメディ、ホラー、ミュージカル等々好みのタイプでいろいろです。
私が見た好きな映画100本の印象を綴りながら連載しています。遥か前に見た記憶なので思い違いがあると思います、お気づきの点や共感されたこと、違う見方のご意見がございましたらメールをお願いします。

連載051
中国の鳥人[The Bird People In China]日本 1997
監督:三池崇史 
主演:本木雅弘、石橋蓮司、マコ・イワマツ

ミャンマー、ラオス、ベトナムの国境と接する中国雲南省は北京、上海あたりの中国人にとっては、文字どおり遙か雲の彼方の南のところらしい。若い商社マンがそこへ派遣される。中国人のガイドが「貴様、良く来たか」てな旧日本軍的日本語で出迎える。そこにもう一人、訳ありのやくざ(石橋蓮司)もいた。二人はガイドに連れられ雲南省の山また山の車の入る道もない秘境へ向かう。

たどり着いたところは、「鳥人伝説」の残る少数民族の村。ゆっくりとした時間の流れる美しい村で過ごすうち、この村に惹かれていく二人。大自然に包まれて暮らす素朴で純粋な村人たちとのふれあいで、現代人が忘れてしまっているものを思い出していく。特に、勢力争いによる抗争や、組内部で成り上がっていくための駆け引きや裏切りなどの人間関係等、気の休まらないストレスの溜まる世界に身を置くやくざの男がずっとここで暮らしたいと思う。

小学生の頃、夏休みになると毎朝6時か6時30分から近所の広場に集まってラジオ体操があった。はじめの3日ぐらいは時間どおりに行っていたが、寝過ごして行かない日がぽつぽつ出てくる。出席のスタンプを押されるので、出欠の歯抜け状態が一目瞭然である。夏休み半ばになるとスタンプを押される時に、「何だ!この出席は」などと言われて行くのがますます億劫であった。後半はずっとサボって終わりにちょっと行っていた様な気がする。しかし、親も朝寝坊だし、歯抜けだらけの出席表を学校に持っていっても、何か言われることも無くホッとしていた。

この映画では子ども達が、竹の骨組みに紙を貼った鳥の羽をつけて飛ぶ練習をしていた。それも夏休みだけではなく、年中であろう。ほんとに飛ぶようになろうと真剣なので、心構えが私のラジオ体操とは全く違う。でも、出席スタンプは無いが、寝坊助な子どもも居たに違いない。三人の男も羽をつけて童心に帰って、楽しそうに飛ぶ練習をするシーンがいい。村でのシーンはまさにファンタジーである。十数匹の亀が、筏を引っ張って川の上流へ上るシーンに、CGがちょこっと効果的に使われていて面白い。原作は椎名誠、監督は売れっ子の三池崇史。彼はやくざ映画を多く手がけている中で、清涼飲料水の一本である。


連載052
白いドレスの女[Body Heat] USA 1981
監督:ローレンス・カスダン

主演:ウィリアム・ハート、キャサリン・ターナー、ミッキー・ローク

夜の屋外コンサートに現れる白いドレスの女。大柄なキャサリン・ターナーなので際立つ大輪の白い花のよう。その白い花に引き寄せられる一匹の虫、ではなく知的で静かな感じの弁護士の男 ウィリアム・ハート。蒸し暑いフロリダの夏の夜、汗だくでねっとりと絡み合う二人。男の背中は吹き出す汗で光っている。まさに濡れ場である。彼女は大きな邸宅に住む人妻で、主人が仕事で留守がちなのをいいことに、そこで逢瀬を重ねる。そして、彼は、恋の虜になっていく‥‥。

サスペンスは結末が見えてしまうとつまらないが、初めてこの映画を見たときは、結末の読めない展開で「へー、こうなるか!」という驚きの感じだった。スター・ウォーズやレイダースの脚本を担当していたローレンス・カスダンの初めての監督作品だが、脚本ももちろん彼でひねりが効いていて上手く創られている。

爆弾マニアの役でミッキー・ロークがくせのある危ないキャラクターを演じている。最近あまり見かけないが、こんなキャラクターでもっと出て欲しいものである。原タイトルの[Body Heat]のごとく、とにかく暑い熱いイメージと夜の屋敷の庭で浮かび上がる、白いドレスが印象的だった。
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